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- サクセスフル・エイジングのための「歴年齢」と「機能的年齢」の考え方 -
老化について

人には必ず「老い」というものが訪れます。程度の差こそあれ
必ず自分に訪れるものです。「老化」という言葉の意味を
広辞苑で調べてみると、このような定義です。
①「年をとるにつれて生理機能がおとろえること」
②「時間の経過とともに変化し、特有の性質を失うこと」
そして、まず意識して頂きたいことは、「老化」とはカラダの
「正常な変化」だということです。
老化は身体機能、特に電気的な活動に
影響を与えます。つまり運動、感覚、認知プロセスのスピード、
情動プロセス、視覚・聴覚の変化、歩き方や姿勢・・・etcといった
神経活動に影響を与えていきます。
「歴年齢」と「機能的年齢」の考え方について
老化とは年を重ねることであると考える人が大部分であり、
これを「暦年齢」と表現します。では同じ年齢の二人のうち、
一方がより老けて見えることがあるのはなぜだろうと
考えたことはありませんか?
(外観だけではなく、その人のしぐさや立振舞い等が)
この疑問に答えるために学者は「機能的年齢」もしくは
「生物学的年齢」という基準を設けようとしました。つまり、
老化の基準を時間ではなく、
身体の機能によって
特徴づけたのです。
(肌年齢のように「60歳なのに40歳代のようなお肌」みたいな感じです)
高齢者の方は、
この「機能的年齢」という概念を
重要視する必要があります。
なぜならば、健康であり続けることと、この機能的年齢の
概念は密接に関係しているからです。
アンチ・エイジングからサクセスフル・エイジング へ

いまや「アンチエイジング」という言葉はとても浸透しています。
よく化粧品の宣伝に使われていますね。日本語では「抗加齢」や
「抗老化」と表現されます。アメリカでは高齢者の寝たきりを
予防するために、
Balance and mobility instructor certification programというものが
あり、このプログラムのインストラクターであるDr.Morgenthalは、
その著書『The Aging BODY』にて
「サクセスフル・エイジング」
という表現を使用しています。私はこの言葉がとても
気に入っています。先にも言及しましたが、老化とは生き物に
とって「正常な変化」です。決して病気ではありません。
万人に組み込まれた生物時計に、この変化は生まれたときから
刻まれているものなのです。もちろん美容産業では
アンチ・エイジングという表現の方が好ましいでしょう。
(女性は何歳になっても女性であることを忘れないのは当然です)
しかし、美容の追求が必ずしも健康の維持や増進にいたるとは
限らないのです。
機能的年齢や健康であることを考える場合、
このサクセスフル・エイジングという意識を
持つことがとても重要だと思います。つまり、
「抗加齢」・「抗老化」ではなく、
「上手に加齢する」
「加齢に成功する」
という表現が正しいのでないでしょうか。

サクセスフル・エイジングを実践するには

ここでは、腰痛・五十肩・膝の痛み等の原因にもなる、
運動活動についてお話したいと思います。
運動活動の低下は高齢者にしばしば
見られる特徴です。特に関節の障害が多くみられます。
膝の痛みを訴えて病院へ行き、膝の軟骨の変性を告げられ、
「膝の使い過ぎが原因ですね」と
医者に言われたので、なるべく膝を使わないようにしている・・・。
こんな経験をお持ちの方はいらっしゃいませんか。
しかし、このドクターが告げたことは本当でしょうか?
軟骨の変性について、これまでは過剰な荷重によって生じるのが
一般的な見解でしたが、軟骨の軟化や線維化はむしろ、
「使用不足」が原因で生じると考え方が変わってきました。
ちょっと難しい話になりますが、関節を構成する軟骨、腱、靭帯、
半月板といった結合組織は大雑把に言うと水と基質
(よく耳にする「コラーゲン」等)
と呼ばれるもので構成されています。そして圧迫・伸張などの
力学的なストレスに対抗するために、簡単に言うと人間が
日常生活をおくる上でカラダにかかる重力などの負荷に
対抗するために、水と基質の比率・構成を変化させます。
カレーをイメージしてみてください。「基質」にあたるのが「具」、
「水」にあたるのが「カレーだけのスープ」です。荷重を確実に
支持するような場所にある軟骨は、より硬固な構造が必要なので、
「具だくさんのカレー」
半月板は荷重を支持しつつもある程度の柔軟性が要求されるので、
軟骨よりも水分が必要です。よって「具の少ないカレー」と
なります。
(例えが下手ですが、なんとなくイメージが湧きますでしょうか)

軟骨の場合ですと、軟骨としての役割を完全に機能し続けるには、
基質の生成と分解がバランスよく行われなくてはなりません。
つまり、リモデリング(作り換え)がなされる必要があるのです。
人間のカラダは作っては壊し、作っては壊しを繰り返して最適な
状態を保っているのです。そしてこの基質を作りだしているのが
軟骨細胞です。興味深いことに、この基質は関節に正常な負荷が
加えられると、シグナルを自分の産みの親である軟骨細胞に
向かって発します。すなわち
「この基質は古いので、分解して、新しいもの生成をしてください」
と指示を出しているのです。
上述の「正常な負荷が加えられると」というのは、しっかりと
関節に荷重圧を加えてあげることです。つまり、
「関節を繰り返し使う」
ことが、軟骨をベストな状態に
してくれるのです。
高齢者の方々は若者に比べたら何倍もの刺激回数を
関節へ与えてきました。しかし、
日常的な関節の使用は関節軟骨を
摩耗させるのではなく、むしろ
保護する行為
であり、不使用による(座っていることが多い、歩かない等)
関節への圧力欠如の方がはるかに軟骨の状態を悪くさせるのです。
サクセスフル・エイジングのカギ
それは、
「しっかりと関節に荷重を
かけてあげる」
ことです。
このことを
実践するのにトレーニングなんて必要ありません。
疲れやすいからといって、自宅にこもってしまうのではなく、買い物
にいったり、友達とお茶したり、お孫さんと散歩したり、遊んだり、
ちょっと少し前まで普通にしていた日常生活をおくってくだされば
いいのです。この生活であなたの「機能的年齢」は「歴年齢」を
下回ることでしょう。
高齢者の「疲れやすいカラダ」を「疲れにくいカラダ」に
機能をアップさせていくのも我々の治療コンセプトの一つです。
「若く見える」という表現は決して外見だけを表しているのでは
ありません。
「歴年齢」でなく「機能的年齢」
を意識するライフスタイルを
目指しましょう!

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